心理職を目指す本棚

心理職を目指すにあたって読んだ本、見た映画のプレビューを書いていこうと決めました。

入門 犯罪心理学

 

 この本は題名の通り、犯罪心理学について網羅的に解説している。そもそも犯罪とは何か、現代における犯罪にはどのような種類があるのか大まかに説明がなされたのち、逮捕後の流れが明確に説明されているため、複雑に感じる司法の理解に繋がる。

 筆者によると、犯罪の理解は単純化できるものではなく、ワイドショーなどで語られるように貧困や障害が必ずしも原因とはなりえないとされる。これは統計学的に見える真実であり、エビデンスベイスドという立場を一貫していることからも理解ができる。投映法(ロールシャッハ箱庭療法など)を始めとした臨床心理を真っ向から否定する記述も散見され、後半では犯罪後のトレーニングに認知行動療法が効果的であったといった記述もある。

 司法における心理職、犯罪者への社会復帰に向けた支援等、興味深いトピックスは多く、興味深い内容であり、全てを原因-結果の関係では単純化できないと筆者が主張する点には大いに納得した。

 一方、自明の理だが、人間は単純な存在ではない。そのため投影法を始めとした検査を否定する姿勢には疑問を覚えた(アンチ精神分析的思考が強いように感じた)。後半では投映法を擁護する記述も表れる。とはいえ、心理臨床には万能な介入方法はなく、それぞれの技法には長所も短所も存在する。そのため、偏った方法で心理臨床に関わることに対して危険性を覚える。

 確かにプロの勘だけで物事を決めてかかることは大変に危険な行為である。しかし専門家だからこそ得られる違和感を頼りに、クライエントのアセスメントへ近づける。エビデンスも重要である。しかしプロの勘、つまり専門家としての感覚(つまり本書の視点でいうと精神分析的な視点だろう)も同時に、アセスメントから介入という工程においては大変重要だと考えた。

 

keyword

 セントラルエイト/ビッグフォー(Andrews & Bonta, 2010)

 遅延価値割引(Kahneman)

 スタティック99

 LSI(Level of Service Inventory) (Andrews & Bonta, 1995)

 マトリックス・プログラム(薬物依存)

 リラプス・プリベンション(性犯罪)

 キャンベル共同計画

 

 

入門 犯罪心理学 (ちくま新書)

入門 犯罪心理学 (ちくま新書)

 

 

入門 犯罪心理学

 この本は題名の通り、犯罪心理学について網羅的に解説している。そもそも犯罪とは何か、現代における犯罪にはどのような種類があるのか大まかに説明がなされたのち、逮捕後の流れが明確に説明されているため、複雑に感じる司法の理解に繋がる。

 筆者によると、犯罪の理解は単純化できるものではなく、ワイドショーなどで語られるように貧困や障害が必ずしも原因とはなりえないとされる。これは統計学的に見える真実であり、エビデンスベイスドという立場を一貫していることからも理解ができる。投映法(ロールシャッハ箱庭療法など)を始めとした臨床心理を真っ向から否定する記述も散見されるため、心理を科学として考える傾向が大変強く、後半では犯罪後のトレーニングに認知行動療法が効果的であったといった記述もある。

 司法における心理職、犯罪者への社会復帰に向けた支援等、興味深いトピックスは多く、興味深い内容であり、全てを原因-結果の関係では単純化できないと筆者が主張する点には大いに納得した。一方で人間も単純な存在ではない。そのため投影法など効果はあるが、その原因が明確に解明されていない療法を否定する姿勢には疑問を覚えた。後半で一部投映法を擁護する記述も表れるが、心理臨床には万能な介入方法はなく、偏った方法で心理臨床に関わることにいいことはないと考える私にとっては、疑問に思う点もあった。確かにプロの勘だけで物事を決めてかかることは大変に危険な行為である。しかしプロだからこそ感じる違和感を頼りに、クライエントのアセスメントへ近づくこともあるだろう。エビデンスも重要だが、プロの勘、つまり経験値もアセスメントから介入という工程においては大変重要だと考えた。

 

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 セントラルエイト/ビッグフォー(Andrews & Bonta, 2010)

 遅延価値割引(Kahneman)

 スタティック99

 LSI(Level of Service Inventory) (Andrews & Bonta, 1995)

 マトリックス・プログラム(薬物依存)

 リラプス・プリベンション(性犯罪)

 キャンベル共同計画